Netflixで話題「古畑任三郎」 伝説の神回《動機の鑑定》に描かれる古美術界のリアリティーに迫る
■追放されるのは、陶芸家の方?
ところで、春峯堂のご主人は美術協会理事のような役職とはいえ、一介の骨董商である。その鑑定で、壺が文化財に指定されることはあるのだろうか。実際は、そういったケースはほぼないと言っていい。基本的に文化財の指定は、それぞれの都道府県の担当者や大学や文化庁などの公的機関の研究者によって調査されたうえで、行われるためだ。
また、百漢は春峯堂のご主人を潰すために壺を焼いたという。しかし、同じ事件が起こった場合、責められるのは鑑定ミスを犯した春峯堂のご主人よりも、百漢の方ではないかと思われる。永仁の壺事件でも、美術界から追放されたのは唐九郎で、日本陶磁協会や日本工芸会などの理事を辞任することになっているためだ。
ただ、世の中はわからないものである。唐九郎は公職からは追放されたものの、重要文化財級の焼き物を作れる陶工として評価され、その名声はむしろ高まってしまった。事件後も数々の出版社から“焼き物教室”のような一般向けの本を出しているほどで、現在では日本を代表する巨匠として称えられている。
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