伊豆急行 リゾート21(伊東~伊豆急下田)車窓はもちろん車内も楽しめる黒船電車とキンメ電車
それぞれに伊豆ならではの物語が
いずれの電車も、車内に入るとまず目を引くのが海側を向いた座席。先頭車両には映画館のように後列ほど高くなる24席の展望席もあり、真正面に延びる線路と、その先の景色を“特等席”から眺められる。運転席との仕切りも低く、運転士の声まで聞こえるほど距離が近い。
それぞれに伊豆ならではの物語がある。
「黒船電車」は2004年、下田開港150周年の目玉として誕生。艶のある黒い車体に船底を思わせる赤、白い喫水線、丸窓をイメージした意匠を施した。当時としては異例の「真っ黒な電車」で社内にも賛否あったというが、本来は期間限定だったものが人気を呼び、今日まで受け継がれている。車内には黒船来航やペリー、幕末の下田にまつわる資料がずらり。さながら「走る博物館」だ。
そして、伊豆の味覚といえばまずキンメダイ。実は、その名物化の立役者が伊豆急行だった。観光客を伊豆へ呼び込むため、鉄道の運行だけでなく、地元と一緒に宿泊商品や名物づくりにも取り組んできた同社。キンメダイもそのひとつだった。
「昭和の終わりごろ、伊豆急の旅行担当者が稲取の民宿でキンメダイの煮付けを食べて、そのおいしさに驚いたんです。当時は市場に出せず家庭で食べるような魚で、『お客さんに出すようなものじゃない』と言われた。それでも商品化してみたら大評判になり、広がっていったのです」(比企さん)
その縁から17年に登場した「キンメ電車」は、「オール伊豆」をPRする列車となっている。7両の車内を沿線の各市町に託し、河津桜や稲取キンメなど、それぞれの観光資源を紹介。車両を移るたびに表情が変わり、次はこの町で降りてみようかと旅心をくすぐられる。
これだけの魅力を積載しながら、なんと全席自由の“普通列車”。指定席料金も特別料金もかからず、乗車券だけで乗れるのはありがたい。
海を眺め、車内を歩き、沿線の歴史に触れる。目的地に着くころには、伊豆が少し違って見えているはずだ。
●運行日…運転日は月ごとに異なる。黒船電車、キンメ電車の運転時刻は公式ホームページで確認
●料金…全車自由席。指定席料金・特別料金は不要。伊東~伊豆急下田は片道おとな1860円、こども930円
●問い合わせ…℡0557-53-1115


















