(34)サ高住入居日…「絶対、嫌」と車に籠城されてしまった
老健の退所日。兄と2人で迎えに行くと、おかんは世話になった担当スタッフたちに囲まれ別れを惜しんでいた。作業療法士の「サ高住でもしっかりリハビリしてくださいね」の声掛けには、「頑張るよ、ありがとうね、ありがとう」。とても慕っていた担当看護師とは手を取り合い、泣きながら何度も感謝を伝えていた。ここまでは順調だ。介助しながら車の後部座席に誘導し、さぁ出発。
時刻は午前11時すぎ。サ高住には午後1時に連れていく約束なので、久しぶりに家族揃っての食事にしよう。おかんお気に入りのレストランをチョイスし、和やかな雰囲気のまま時間は過ぎていった。
よし、いい感じ。時間もちょうどいいのでサ高住に向かい車を走らせる。すると、「このまま行くの? 家には寄ってくれないの?」。不満そうなおかんの声が聞こえてきた。
「約束の時間に遅れそうなので今日はそのまま行くよ」「落ち着いたら連れていくから……」
兄と2人で説明していると、どんどん不機嫌な顔になってしまった。そして、「あんたたちはお金を手にしたら態度が変わったよ」「そんなに家に帰したくないのか」「苦労して家も建てて育ててきたのに裏切られるなんて」「情けない、情けないよ」。


















