著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。最新刊は「酒好きの記」(集英社新書)

(48)時には地元酒を

公開日: 更新日:

 多摩の田舎の小さな店の閉店は早い。

 ここの主人は蕎麦を打ち、寿司も握る。ランチの定食として、寿司、天ぷら、刺身、蕎麦の4拍子がそろう。その贅沢さは夜も同じで、締めの食事を何にするか、即断するのは難しい。

 この日の私もしばし悩み、鴨蕎麦を選んだ。その理由は、鴨とネギのつけ汁を啜りつつ、日本酒をもう1杯追加しようと考えたからだ。

 これが正解だった。

 汁を啜り、酒をひと口。また汁を啜っては酒をひと口。おもむろに蕎麦に箸をのばし、また汁へもどって、酒へと流れる。締めの飯が、蕎麦酒という、なんともいじましい形になった。最後まで飲みたがる姿勢に、自分のことながら、笑いが出た。そんなにまでして飲みたいか? 自分にそう聞いてみると、そうだ、その通りだという答えが返ってくる。

 ときには地元で、こんなひとり酒も悪くない。

【連載】大竹聡 大酒の一滴

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