ウェルビーイングな生き方を探る(上)役割意識と刹那的な価値判断に翻弄される日本人

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香山 多くの日本人にとって、いったん与えられた役割を失うというのは死に等しいことで、なんとしてでも役割を守らなければという思いの中で生きてきたわけです。

 ──その一方で、変化も表れてきています。

香山 ここ40年ほどですかね、女性解放とか、弱者の権利を守ろうとか、個人の意識とか、ようやく言われるようになった。長い長い歴史の中では、まだまだ最近のことです。でも、個人主義はまったくと言っていいほど浸透していません。結局は、常に組織の中で役割を失わないように忖度して、自分の立ち位置を評価しながら渡り歩く社会になっていますね。

■リアル社会に加えてSNSでも横行する同質性依存

 ──阻害要因は?

香山 日本が全体として経済的にも国際社会においても停滞し、少子化をはじめとする重い社会問題が浮上してきて、個人の自由を大切にという考え方を止めようとする動きが出てきたのです。その象徴が保守回帰です。個人としてではなく、勝ち馬に乗るしかないという風潮になってきて、優勢な側にみんなが一斉に乗り、そこでの自分の優勢さを保つために、自分と違う側の人たちを激しく罵倒したりすることで、自己確認しつつ、周囲に自分をアピールすることで、自分を守っている。個人が自分の意見を持って当然という余裕、懐の深さが日本の社会になくなってしまったように思えます。

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