「出前館」はなぜ増資しても株安にならず急騰したのか? 大きな要因は3つ
増資は一般的には、株主価値の希薄化を招くため悪材料であり、株安になるといわれる。特に発行株数が多く希薄化率(増加する株式の議決権数/増加する前の発行済み株式の議決権総数)が高い増資の場合は、一層その傾向が強い。
ところが、たまに想定外のことも起きる。最近の料理宅配大手「出前館」の大規模増資は希薄化率の高いものだったが、株価は急騰したのだ。その理由を考えてみたい。
9月13日の取引終了後、同社は①「第三者割当増資」と②「海外向けの公募増資」を組み合わせた増資を実施し、約800億円を調達すると発表した。①と②で増加する株式数は最大5543万株で、現在の発行済み株式総数(8548.6万株)の約65%にも達する大量の新株を発行する増資である。
翌9月14日、大幅に下落すると予想された同社の株価は、前日比で小安く始まり、5%安(1716円)まで下落した。しかし、その後は急速に切り返し、一時19%高の2147円まで駆け上がり、終値は8%高の1956円だった。
大幅な株高になった要因はいくつか考えられる。