安久工機 田中隆社長(1)「世界トップレベルのベンチャー7社」に選ばれた町工場

公開日: 更新日:

「早稲田の先生から声をかけられて、このプロジェクトに安久もかかわりだすんです。学生さんが描く図面のアドバイスとか、実際に装置をつくるという形で協力するようになっていきました。今でこそ“医工連携”という言葉が当たり前に使われますが、それをすでに50年以上前からやっていたことになります」

 医工連携とは、医学分野の関係者と工学分野の関係者がタッグを組み、新たな医療機器や技術を開発することを指す。それにしてもなぜ、スタートしたばかりの安久工機にお鉢が回ってきたのだろうか。

 文夫氏が勤務していた東洋精器は、同じ下丸子に本社があった東証1部上場の北辰電機製作所(現横河電機)の仕事を請け負っていた。その北辰電機に勤めていた一人が早稲田大の出身者で、同大の研究室に戻ったので、その縁で協力を依頼されるようになったのだ。当時から、文夫氏の技術の確かさが信頼されていたということだろう。

 安久工機が創業した当時、隆氏は中学2年生。業務の内容についてはほとんど知らなかったが、「小さな会社だけど、人の役に立つ仕事をしているに違いないという認識を持っていました」と隆氏は振り返る。 =つづく

(ジャーナリスト・田中幾太郎)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • ビジネスのアクセスランキング

  1. 1

    ロピア(上)カトパンの夫が社長就任後に急成長 イトーヨーカ堂の7店舗を手に入れる

  2. 2

    クリーク・アンド・リバー社 井川幸広会長(1)プロフェッショナル人材の生涯価値の向上を掲げて全面サポート

  3. 3

    元テレ東・高橋弘樹×元横浜DeNA・高森勇旗「見込みのない新規事業の止め方」…虚栄心で突き進む社長を誰が“殺す”のか?

  4. 4

    くも膜下出血で早逝「ブラックモンブラン」41歳副社長の夫が遺してくれたもの…妻で竹下製菓社長が告白

  5. 5

    ダルトンがあすか製薬へのMBOを断念…最高投資責任者が送っていた無礼なメールと素人じみたミス

  1. 6

    コメ兵が今期売上高を2000億円と予想も…急成長の裏では少なくない代償が

  2. 7

    クリーク・アンド・リバー社 井川幸広会長(2)次に通らなかったやめる…すべてつめ込んで書き上げた“勝負企画”

  3. 8

    スノーピーク(上)キャンプブームを読み違え業績悪化

  4. 9

    クリーク・アンド・リバー社 井川幸広会長(3)“天才”ジェームス三木の企画を前に悟った、努力だけでは埋めがたい領域

  5. 10

    スノーピーク(下)社の命運がかかった米国でのキャンプ場事業…山井太社長の悲願の行方は

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり