介護現場の崩壊で避けられぬ経済的損失…賃上げ財源乏しく人材流出も止まらず倒産急増

公開日: 更新日:

 介護業界が危機に直面している。東京商工リサーチが7日発表した調査結果によると、「介護事業者(老人福祉・介護事業)」の倒産が急増。今年は先月までに計72件(前年同期比75.6%増)に達し、あと1カ月を待たず上半期の過去最多だった2020年の58件をすでに上回った。

 介護業界は深刻な人手不足に頭を悩ませている。他業種と比較しても賃金が低く、人材流出に歯止めがかからない中、賃上げの波にも乗り切れていない。中小企業を対象にした日本商工会議所の調査(5日発表)では、「医療・介護・看護業」の今年度の賃上げ率は、正社員で2.19%と全体平均の3.62%を大きく下回っている。

 これでは採用難と離職に歯止めがかからない。さらに追い打ちをかけているのが円安・物価高だ。光熱費や燃料、介護用品などの値上げにより経営が逼迫し、倒産が相次いでいるのだ。

 介護従事者の労働組合「日本介護クラフトユニオン」の村上久美子副会長は、業界の苦しい状況をこう明かす。

「主な収入源が介護報酬という国が定めた制度である以上、企業努力だけでは限界があります。賃上げを実践しようにも財源がなく、他の業種との賃金格差は開くいっぽうです。国にはしかるべき予算を投入してもらいたい」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝