「骨太の方針」は強気だが…気になる中小企業の賃上げ・人手不足倒産

公開日: 更新日:

 東京商工リサーチが6月10日に発表した「2024年1-5月『人手不足』関連倒産の状況」がそれを裏付けている。倒産件数の累計は118件と前年同期の2.1倍と大幅に増加、調査を開始以来同期間最多で初めて100件を超えた。企業規模では小・零細企業(資本金1000万円未満)が約7割を占め、破産が102件と約9割を占めているのである。

「人手不足で受注を確保できず、営業の機会を逸し、業績回復の遅れから事業継続が困難になるケースが増えてきています」と言う同社情報本部担当者が続ける。

「人件費や原材料、エネルギー価格の上昇などのコストアップが相次ぎ、業績回復が遅れ、賃上げ原資を確保できない企業では従業員の退職引き留め、新たな人材確保が難しくなっているため『人材不足』関連倒産はしばらく増える可能性が高い」

 骨太の方針で何度も述べられている「賃上げの定着」だが、賃上げが継続される一方で、中小企業の倒産が進むことが危惧されるのだ。その結果、倒産を回避し事業存続のための大手によるM&A、中小企業同士の統合、合併で淘汰される企業が今後増える可能性も指摘される。それは中小企業にとって、今後賃上げを確保できる企業だけが生き残ることにもつながりかねない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  5. 10

    吉村府知事肝いり「副首都構想」に陰り…大阪万博“帰宅困難問題”への場当たり対応で露呈した大甘な危機管理