関税15%の実施見通せず…国内自動車メーカーの減益拡大続く

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 日米貿易交渉の中心となっている米国への自動車輸出関税は7月、これまでの27.5%から15%に引き下げることで合意した(トランプ大統領が4月に決めた追加関税25%を半分に引き下げ、従来の2.5%を乗せ15%に)。

 ところが合意から1カ月以上経つ8月末になっても15%の関税は実施されず27.5%の関税がかかったままなのである。

 財務省による7月の貿易統計では米国向け自動車輸出額は4220億円と、前年同月比28.4%の大幅な減少となった。15%関税の実施時期は見通せず、現行の27.5%の関税が続けば国内自動車メーカーの輸出額の減少幅はさらに拡大することは避けられない。

 自動車メーカー7社による2025年4~6月期決算で、26年3月期は関税の影響で2.6兆円の大幅減益の予想が明らかになった。関税の影響を考慮しメーカー各社は米国内での値上げ時期、価格、さらに米国内へ工場移設、現地生産増といった対応を検討中だ。佃モビリティ総研の佃義夫代表がこう述べる。

「米国の関税の影響でドル箱の米国のほか、カナダ、メキシコの販売も苦境に立たされている。国内市場が収縮傾向のなか、各社国内販売の死守に四苦八苦しています。自動車メーカーは地方経済の柱です。各社米国での現地生産が進むことで、かつての電機メーカーのように空洞化の方向がさらに進むことが懸念されます」

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