不動産業界で女性進出が「進む米国」と「進まない日本」の皮肉な現実
「それは一面的な見方です。当事者からすれば、不動産営業は収入の波が激しすぎる。儲かる月もあれば、収入ゼロの月が続くこともある。その不安定さを補うのが、夫の安定収入なんです。だからこそ、女性がこの仕事を選びやすい面もあるんですよ」
つまり、米国で女性比率が高い背景には、完全歩合制による収入の不安定さがあるというのだ。安定収入を得にくい職業だからこそ、家庭内に経済的なセーフティーネットがある女性が続けやすくなる。
一方、日本の不動産業界は依然として男性中心だ。営業現場では体育会系気質が色濃く、長時間労働や夜の接待といった慣習もまだ生き残っている。そのため女性の参入はまだ微増。ただし給与体系は基本的に固定給+賞与型で、アメリカほど収入の振れ幅は大きくない。
こうした数字を並べてみると、米国は「女性が多いが不安定な職業」、日本は「女性が少ないが安定志向が強い職場」と言えるのかもしれない。
一見すると米国が「進んでいる」と受け止められがちではある。しかし、その裏には、激しい競争、完全歩合制という不安定な収入構造があり、「続けられる人=配偶者などの安定収入に支えられている人」である現実も見逃せない。
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