専門家は「無私の姿勢で組織を引っ張る人」と評価する「司馬遼太郎」のリーダー像が受け入れられなくなったのはなぜ?

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 その結果、「こう生きればいい」という明快なロールモデルは、かえって受け入れにくくなった。読者はヒーローに“答え”を求めるのではなく、“迷い方”や“折り合いのつけ方”に共感するようになっている。

 さらに言えば、時代は「強さ」よりも「しなやかさ」を求めている。司馬遼太郎の描く人物たちは、強烈な意志と行動力を持つ一方で、どこか直線的だ。しかし現代社会では、変化に適応し続ける柔軟性や、他者との関係性を調整する力のほうが重要視される。

 とはいえ、司馬遼太郎の価値が失われたわけではない。 むしろ彼の作品は、「かつて日本人が信じていた理想」を鮮やかに映し出している。

 一方で、いま求められているのは、時代を変えるヒーローではなく、揺らぎの中で折り合いをつけて生きる力。だからこそ、その距離に気づいたとき、司馬遼太郎は少し違って見えてくるのかもしれない。

(河合良成/ライター)

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