専門家は「無私の姿勢で組織を引っ張る人」と評価する「司馬遼太郎」のリーダー像が受け入れられなくなったのはなぜ?

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 かつて、男たちは歴史小説で「生き方」を学んだ。とりわけ司馬遼太郎の作品に登場する人物たちは、時代の閉塞を打ち破る“理想のリーダー像”として、多くの読者を魅了してきた。『竜馬がゆく』の坂本龍馬、『坂の上の雲』の秋山真之や正岡子規。彼らは既存の枠組みにとらわれず、信念と行動力で時代を切り開く存在として描かれる。

 だが、令和の今、その“ヒーロー像”は以前ほどの説得力を持たなくなっているという。まず1つは、「個の力で時代を変える」という物語そのものが、現実とかみ合わなくなっていることだ。

 歴史家・静岡文化芸術大学教授の磯田道史氏は司馬が考えるリーダー像について、過去にNHKの番組で「合理主義と使命感を持ち、『無私』の姿勢で組織を引っ張ることのできる人物だった」と述べている。しかし現代社会は、むしろ「調整」と「合意形成」の積み重ねで動く。企業でも政治でも、カリスマ一人が物事を動かすことが主流ではなくなった。

 実際、ビジネスの現場では「一人の英雄」よりも、「再現性あるチーム」が重視される。個人の突破力よりも、仕組みやプロセスの整備こそが評価されるのだ。そうした環境において、龍馬のような“型破りな異端児”は、残念ながらリスク要因として見られかねない。

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