最大1200億円の税収も、経済効果はどれくらいか? 大阪に続く自治体はあるのか?
大阪のスタート後1~2年で誘致を立候補する自治体が相次ぐ
施設の骨格は固まりました。日本初のカジノIRは将来、どんな姿を見せるのでしょうか。
「日本では、カジノの収益がIR全体の70%前後を占めるでしょう。しかし、私はその割合が下がってほしいと思っています。なぜなら、ラスベガスでは先日、カジノ以外の収益が70%を超えました。世界的にはカジノのイメージが強い場所でありながら、全体としては30%に過ぎないこの現実が、IR本来のインテグレーテッド・リゾート、楽しさを統合したものだと考えるからです。ステージショーやスポーツ、ホテル、遊園地、飲食業、観光、旅行……。IRは、そういったすべてのイベントを楽しみにして訪れるのが理想の形。“カジノだけ”というのは、まだまだ不十分なんですよ」
万博跡地の活用策としてサーキット場やウオーターパークが整備される話もあります。
「夢洲の中に限らず、USJや海遊館など車で30分圏内のレジャー施設と提携し、IRの客が優待されるような契約を結べばいいと思います。そうすると、IRからのショートトリップは必ず実施されるようになりますから。サーキット場については、中途半端なものではなく、せっかくならF1も誘致できるような本格的なレース場を造るべきです。レースがない通常営業のときは、たとえば、“クラシックカーの日”“フェラーリの日”“ランボルギーニの日”“BMWの日”“モーターバイクの日”などを設けて年間を通じていろいろなイベントを用意して、そこにIRも絡めていくと、一大リゾート地になります」
発展に向けてはIR施設にすべてを囲い込むのではなく、地元地域の産業、商業に還元していく支援なども大事になってくると思いますが。
「米ニュージャージー州では1976年にカジノが合法化され、2年後に第1号施設がオープンしました。それ以来、収益は右肩上がりで伸び続けています。その間に同州のアトランティックシティーのホテルにもカジノができました。この2つのカジノ建設によって発注された建築資材やモノ、飲食物などの地元調達率はどうだったかというと、90%を超えたことを示すデータが報告されたのです。地元が潤うことで、カジノが地域の人に支持されていることは言うまでもありません。カジノIRには皆さんが思っている以上の産業があるのです」
想像以上の産業とは、具体的にはどれくらいですか。
「ある米国のホテルカジノで仕事の一覧表を見せてもらったところ、その数は実に880種類に上りました。カジノは、幅広い分野で地元の産業を支援できる可能性があるということです。これだけエビデンスがそろっても、カジノIR反対の声は消えないのでしょうかねぇ」
IRについては、初めて認定された大阪のほか、愛知や北海道でも整備計画申請に向けた動きがあります。
「ここで予言しておきます。『大阪のカジノIRが始まって1~2年経過したら、何でウチは手を挙げなかったんだとじだんだを踏む地方自治体が相次ぎます』──。もし外れたら学者を辞めますよ(笑)」
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谷岡氏の話は、どれも具体的で興味深い。予定通りなら、開業まであと4年。カジノIRをめぐる動きは、これからも要チェックだろう。
▽谷岡一郎(たにおか・いちろう) 1956年大阪府生まれ。慶応義塾大学法学部卒業後、南カリフォルニア大学大学院の修士課程、同博士課程修了。1997年大阪商業大学学長、2005年学校法人谷岡学園理事長にそれぞれ就任。ギャンブル学、犯罪学、社会調査方法論などを研究。中でもギャンブル研究には定評があり、 日本のカジノ合法化論議では数々の提言を行っている。



















