安倍政権の2つの「革命」からにじみ出る色濃い国家主義
安倍政権が2兆円規模の「政策パッケージ」を閣議決定した。安倍首相が唐突にブチ上げた「人づくり革命」と「生産性革命」を実現させると息巻いているが、こんな思いつきだけの人気取り政策を、よくもまあ、やれるものである。
人づくり革命の柱は「教育の無償化」だ。幼児教育・保育のほか高等教育も対象で、低所得世帯は国立大の授業料と入学金を免除し、私立大でも補助する。公明党が求めた私立高校授業料の無償化も所得制限を設けて実施する。
無償化といえば聞こえはいいが、財源は国の税金だ。子供を抱える世帯に代わって、国が教育の基本コストを肩代わりするわけだが、危惧されるのは、教育現場への国家の介入だ。
無償化によって国の負担が増えるほど口を挟んでくるに違いない。日本の教育現場は、学校ごとに特色ある教育方針を掲げている。特に私立はその傾向が顕著だが、国の介入が強まれば各校の特色は失われていく。最悪の場合、国の教育方針に従わなければ「無償化」の対象にならないということも想定される。
革命とは根本から変えることだ。「人づくり革命」を掲げる安倍首相は、戦後に花開いた自由な民主教育をひっくり返したいのではないか。いきなりは無理にしても、教育無償化は戦前回帰・軍国教育復活への道を開くことになりかねない。