「新潮45」は休刊に…“弱者の利権”と両断する強者の危うさ

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 自民党杉田水脈衆院議員が「新潮45」に掲載した記事「『LGBT』支援の度が過ぎる」への批判を受け、文芸評論家の小川榮太郎氏が同誌に批判への反論記事を掲載。その余波で、「新潮45」が休刊に追い込まれたのはご存じの通り。

 休刊の“片棒を担いだ”小川氏の記事の主張は、「弱者を盾に人を黙らせるという風潮に対し、政治家も言論人も臆病になっている」というものだった。では、その主張の中身はどういうことか。

 まず、弱者が弱者であることを盾に人を黙らせることが、日常的に行われているかという点。たとえば、パワハラのシーン。最近はちょっと厳しく注意をしただけで「パワハラ」と訴えられないかと怯えている上司もいるだろう。女性社員に優しくしたことで「男性社員には厳しいのに差別ではないか」と指摘されるケースもある。これらを「弱者を盾に」と思う人もいるかもしれないが、関東学院大学経営学部の中西新太郎教授はこう言う。

「基本的に、社会の中で弱者というのは、ものが言えないのが普通です。しかしSNSの普及で、自分の意見を言うことのハードルが少し下がってきました。そこで弱者が声を上げた場合、強者は『弱者のくせにものを言うとは』と感じてしまうのです。上下関係のある会社内、無意識に女性を下に見ている社会では、部下や女性がこのようにものを言うと、言われた言葉以上に『弱者に言われた』ということで衝撃を受ける。そういうことではないでしょうか」

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