寺脇研
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寺脇研京都造形芸術大学客員教授

1952年、福岡市生まれ。ラ・サール中高、東大法学部を経て、75年に文部省(当時)入省。初等中等教育局職業教育課長、大臣官房審議官、文化庁文化部長などを歴任し、2006年に退官。ゆとり教育の旗振り役を務め、“ミスター文部省”と呼ばれた。「危ない危ない『道徳教科書』」など著書多数。

犠牲精神を何より求める「星野君の二塁打」のトンチンカン

公開日: 更新日:

 読み物教材の押しつけ教訓話といえば、極め付きは「星野君の二塁打」である。学校図書や廣済堂あかつきが出版する小学校6年生の教科書に掲載されている。

 舞台は少年野球チーム。打席の星野君に監督はバントのサインを出した。しかし、打てそうな予感がした星野君が反射的にバットを振ると結果は二塁打となり、この一打がチームを勝利に導く。だが翌日、監督は選手たちに重々しい口調で語り始めるのだった。チームの作戦として決めたことは絶対に守るという監督と選手間の約束を持ち出し、全員の前で星野君の行為をとがめる。

「いくら結果がよかったからといって、約束を破ったことには変わりはないんだ」

 そして、星野君は市内野球選手権大会への出場禁止を命じられる。

 この教材は、文科省の定めた学習指導要領の「よりよい学校生活、集団生活の充実」に対応している。それを前提にすれば、当然、「集団生活を乱さないことは個人の考えより重要」との結論になるに違いない。しかし、監督の指示が適切でないと思える場合でも、それを100%守らなければいけないのだろうか。星野君はペナルティーを与えられるほど悪いプレーをしたのだろうか。

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