遠のく北方領土…平和条約交渉「打ち切り合意」の衝撃情報
北方領土返還を巡るロシアとの平和条約締結交渉は遅々として進まない。河野外相とラブロフ外相が31日、平和条約締結に向けた交渉責任者として4回目の会談に臨んだが、成果なし。共同記者発表で河野は「乗り越えるべき課題の輪郭はだいぶ明確になってきている」と強調したが、平和条約交渉の打ち切りで合意したという衝撃情報が流れている。
外相会談は当初予定していなかった一対一の会談を約40分間行った後、全体会合が実施された。合意したのは、北方領土での共同経済活動の早期具体化に向け、今月11日に局長級の作業部会実施。海産物の養殖、温室野菜の栽培、観光ツアー開発、風力発電の導入、ごみ減らし対策――の5項目の実現を目指すという。北方4島を事実上管轄するサハリン州と北海道の間で短期滞在のための査証(ビザ)を相互免除する案も議題になった。大阪でG20首脳会議が開催されるタイミングの29日に26回目の日ロ首脳会談が予定されている。
筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。
「安倍首相は北方領土返還をどうやらあきらめたようですね。ロシア大手紙のイズベスチヤ(5月27日付)のスクープ記事に沿って日ロ交渉は展開しているようです。ロシア外務省高官の話として、平和条約交渉の打ち切りで日ロは合意済みだと報じていました。4月中旬に安倍政権は対ロ政策を抜本的に変えていたのです」