「ハンセン病家族訴訟」控訴断念を決めた安倍首相の本心
<政府として改めて深く反省し、心からおわび申し上げます>
元ハンセン病患者の家族への賠償を国に命じた熊本地裁判決の控訴見送りについて、政府が12日発表した安倍首相の談話と政府声明。大マスコミは「安倍首相が英断を下した」みたいな扱いで報じているが、よくよく中身を確認するととんでもない。英断どころか、未練タラタラなのだ。
<患者・元患者の皆さまのみならず家族の方々に対しても、社会において極めて厳しい偏見、差別が存在したことは厳然たる事実>――。安倍談話は一見すると、政府が過去の事実を真摯に受け止めたように思えるが、見逃せないのは<今回の判決では、いくつかの重大な法律上の問題点があります>というくだりだ。問題点とは何か。同時に閣議決定された「政府声明」に詳細が示されている。
声明では<本判決には、次のような国家賠償法、民法の解釈の根幹に関わる法律上の問題点があることを当事者である政府の立場として明らかにする>として、<本判決の各大臣に偏見差別を除去する措置を講じる義務があるとした時期は、これと齟齬しているため、受け入れることができません><個々人との関係で国家賠償法の法的義務を負うものではありません><司法が法令の違憲審査権を超えて国会議員の活動を過度に制約することとなり、国家賠償法の解釈として認めることができません>など、ことごとく原判決を否定している。