れいわ新選組・山本太郎氏「世の中変わるなら捨て石上等」
「財政規律、財政再建と言う政治家はDV野郎です」
21日投開票の参院選でもっとも注目されるのが、山本太郎代表が立ち上げた「れいわ新選組」の動向。テレビ中心に大手メディアが存在を黙殺する中、街頭では大勢が立ち止まり、演説に耳を傾け、寄付をする。その映像がネットで拡散され、著名人もがSNSで応援する。かつてない社会現象だ。
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――投開票日が迫っていますが、手応えは?
反応はすごくいいです。公示日は(立候補)届け出がギリギリ、ポスターも張れてない、第一声でのぼりもない、選挙カーもないというスロースタートでしたが、どこへ行っても感触はいい。
――12日の品川駅前での街頭演説「れいわ祭」はかなりの群衆で、どんどん膨れ上がっていきました。何が有権者を引きつけていると?
自分で聞いてみると、退屈な演説だなと思うわけです。12日も映像を確認して吐きそうになったんです。イケてなさに。ただ、分かりやすいというのはあるんじゃないですか。山本太郎でも理解できるんだから、みんな理解できる。それ以上でもそれ以下でもない。
それと、本気の捨て身って、なかなかないじゃないですか。僕も野原さん(東京選挙区に出馬した野原善正候補)も、世の中が変わるんだったら、捨て石上等のつもりでやっている。そういうところが伝わっているのなら、面白がる人がいるかもしれないですね。
――寝ている票の掘り起こしは狙い通りですか。
今の時点で何とも言いようがないです。蓋を開けてみないと。無党派に対して他の政党は伸びしろが少ないと思うんですよ。そうした中で、伸びしろ「しか」ないのが僕たち。グラウンド・ゼロから始まっていますから。(有権者の)視界に選択肢として映ればもっと面白くなると思うんですが、ネットなどの一部のメディアでしか取り上げられない。強制的に垂れ流すテレビでは、僕らの存在は扱われない。それは想定済みで分かっちゃいるけれど、大変ですね。
――確かに、テレビではほぼスルーされています。
政党要件を満たさないので扱われないようなのですが、そうは言っても、国会議員1人が旗揚げしたグループが3億円の寄付を集めて、演説会場はどこよりも盛り上がっている。ひとつの現象として取り上げられてもいいのでは、と正直思いますね。もっとも、演説内容はスポンサーサイドにとって好ましくないでしょうから。テレビは商業主義ですからね。
――低投票率が懸念されています。
ハッキリ言って、みんな政治どころじゃないんですよ。「立憲主義に基づいた政治を行う」っていくら訴えても、多くの人はそれどころじゃない。生活が本当に苦しくて、目の前のことで精いっぱいという声をたくさん聞いてきました。こうした声を私よりも聞いてる先輩はいっぱいいると思うんですよ。それなのに、消費増税とか、増税凍結どまりとか。「ナニ寝言言ってんだ」ってことは、与野党に言いたいですね。
(この国の経済状況は)20年続いたデフレから脱却して緩やかなインフレみたいな話になっていますが、いまの状況でプライマリーバランスの黒字化だとか、財政規律だ、財政再建だとか言っている政治家は与野党関係なくDV野郎ですよ。
■「政治に緊張感を生む存在を目指す」
――キツイですね。
ここまで地盤沈下した中で財政規律だの、財政再建だのっていうのは、国民にとって暴力行為です。殺す気か、という話でしかない。消費増税を容認する人たちと、消費増税凍結を訴える人たちの未来デザインはほぼ一緒。消費税廃止を掲げる僕たちとは描く将来像が全く違う。
凍結では、いずれ解凍されて増税に向かってしまう。消費税という大きな基幹税制を残し続けるということ。逆進性が強かろうが、中小企業の首が絞まろうが、消費税を大企業の補填に使い続けていくということ。違いは時期だけで、消費増税も増税凍結も大きく変わりません。