東大名誉教授・醍醐聰氏「森友問題はまだ終わっていない」
森友問題はまだ終わっていない。国有地売却や決裁文書を改ざんしたとして告発された財務省元理財局長の佐川宣寿氏らは、大阪地検特捜部により不起訴処分となったが、検察審査会(検審)は「不起訴不当」と議決した。告発人のひとりがこの人。先月10日には、検審の議決に重大な事実があるとして、直接、大阪地検に乗り込んでもいる。一大学教授がそこまでして訴えたかったことは何だったのか。
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――先月10日、同じ告発人メンバーの弁護士らと共に大阪地検を直接、訪問しました。どんな経緯だったのですか。
検審が不起訴不当を議決した直後の4月1日、私たちは大阪地検に出向きましたが、面会に応じたのは告発とは無関係の事務方でした。不起訴不当の議決を受け、再捜査の担当検事が同月8日ごろに着任するということだったので、その担当検事と直接やりとりさせてほしいと要請したのです。すると、5月頭に「面会しましょう」との連絡がありましたので、10日に再度、地検を訪れたということです。
――地検が要請を受け入れ、告発人と直接やりとりするとは異例ですね。
こういう問題では、直接の対応者はだいたい事務方や広報担当者です。告発人と捜査担当者が面会したケースは、これまでほとんどなかったのではないでしょうか。検察サイドとしては、「あなたたちの話は聞いてあげたよね」というアリバイづくりのつもりだったのでしょう。
――実際、検察側の反応はどうでしたか。
「この場で私の意見は控える」という返答のオンパレードでした。そうなることは私たちも分かっていました。とはいえ、またとない機会です。予定調和のストーリー通りにさせないために問題の焦点を絞り、「このポイントだけは外さないで捜査してもらいたい」と申し入れました。
――どういった部分に焦点を絞ったのでしょう。
ひとつは、安倍首相の国会答弁と事実の食い違いです。2017年3月の参院予算委員会で、安倍首相は国有地を8億円値引きしたことについて「(敷地地下の)ゴミを取るのを前提に国有地を1億数千万円で売った」と答弁しました。それならば、実際にゴミを取ったのか否かが問われるはずです。ところが、森友学園の籠池前理事長は国会などで、一貫してゴミを取る必要はなかったと発言しています。佐藤善信前航空局長も、地下埋設物は校舎のくい打ちをする上で支障にならないと発言しています。佐川前国税庁長官は「我々は、国有地売却後、買い手がどう処理したかについては関知していない」としています。つまり、ゴミを撤去したか否か確認していないのです。地検は実際にゴミがあったか否か、撤去したか否かを再捜査でしっかり調べなければ真偽を確かめたことになりません。
――会計法の観点でもおかしな取引なんですよね。
法に照らして考えると、森友の場合、政府はゴミ撤去工事名目で約8億円という補償金を前払いしていることになります。一種の概算払いですが、国が補償金を事前に支払うことが認められるケースは極めてまれです。認めないというのが大原則で、仮に認めたならば、事後の精算が不可欠。精算しないまま、補償金の残金が先方の手元に残ってはいけないと規定しているのです。
――補償金を事前に払いっぱなしにして終わりなど、あり得ませんね。
百歩譲って、仮に精算払いなしで契約したならば、相当慎重に精査して撤去工事の費用をはじき出さないといけません。補償金をいったん渡してしまったら、戻ってこないわけですから。


















