小林節
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小林節慶応大名誉教授

1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

カジノで景気を語る政治家はまるで権力を握った“詐欺師”だ

公開日: 更新日:

 刑法は賭博(つまり、財物を賭けて偶然性が支配する勝負)を行うことを犯罪だとしている(185条)。それは、すべての人間の本性に潜む射幸心(偶然の利得を期待する浅はかな心)が人間を廃人に転落させることが、公知の事実だからである。つまり、賭博は麻薬と同様に、人間にとって絶対悪である。

 にもかかわらず、「戦災からの復興」などと口実を立てて、「公的に管理された」ギャンブルは例外的に合法化するという方便がまかり通り、わが国は既に世界でも、まれに見るギャンブル大国である。冷静に考えてみれば、ギャンブルは本来的に国民大衆の味方であるはずがない。例えばカジノというビジネスは、その賭け金の総額からまずその運営経費と行政への上納金を天引きした残りを客に配当する以上、賭けた人々は全体として初めから「食い物にされる」ようになっている。

 だから、そうして庶民から巻き上げた金で「景気が良くなる」「歳入も上がる」などという絵空事は、実は、単純明白に、庶民からバクチで搾り取った金で特定の業者と行政が潤い、その用心棒のような族議員への政治献金が増えるだけのことであろう。

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