小林節
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小林節慶応大名誉教授

1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

興味深い共産党の挑戦 資本主義が高度化する中で綱領改定

公開日: 更新日:

 今月14~18日まで、日本共産党の大会が開かれ綱領の改定が行われた。その内容が大変興味深い。

 共産党は「暴力」革命政党だと批判されている。それに対して、帝政ロシアを倒したソ連の時代と異なり、日本共産党は一貫して選挙と議会による改革を追求していることを確認した。また、「自衛隊と日米安保条約を認めていない」と言われる。それに対して、共産党は自衛隊と日米安保がいらない世界を目指していることと、今はそれが許される状況にないことを、率直に認めている。さらに、「天皇制を認めていない」という批判に対しては、明治憲法下で国家の全権を掌握していた天皇と現憲法下の象徴天皇の違いを踏み外すべきではないと主張している。

 野党共闘が「野合」であるとの批判には、野党共闘には既に立派な共通政策があることを指摘している。①立憲主義、民主主義、平和主義の回復②格差をただす家計応援の政治③人権を尊重する政治、である。

 共産主義が正しくないという批判にもきちんと答えている。まず、グローバル化した資本主義こそ、貧富の格差と環境の悪化を招いている。それに対して、かつて後進資本主義国で共産主義革命を試みた先例は、人権意識の未確立な時代に小さな資源を管理した官僚による独裁を招いてしまったが、人権意識の確立した豊かな資本主義国では、むしろ共産主義は資本の横暴による不幸を招かない可能性があると指摘している。

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