大臣の育休は単なる勘違いだ 制度の趣旨にかなっていない
小泉環境大臣が「育休」を取ることが話題になっているが、私は、それは行政機関の長として甚だしい「勘違い」だと思う。
まず、「育休」という制度は、「従業員」の子の養育を容易にし、その「労働者」の雇用の継続・再就職を促進するための制度である(育児・介護休業法1条、3条)。しかし、大臣という地位は、法律で言うところの「事業主、国……」そのものであり、「使用者」であり、「従業員」ではない。
また、省の大臣の職務は、特定の行政事務をひとりで全権限と全責任を担う「独任」の身分(内閣法3条1項、国家行政組織法5条1項)で、代わりの利かない立場である。つまり、日常的に仕事を分担し合う同格の同僚はいないのである。
だから、事柄の性質上、小泉大臣が一定期間の育休を取りたいのなら、それは大臣を辞めるしかない。でないと、その間、環境大臣が空席になってしまう。