異例の黒川人事に激怒 稲田検事総長が放つ「逆襲の一手」
稲田総長にとってはメンツを潰されたのも同然で、このまま黙っていれば官邸の思惑通り、黒川総長が誕生することになる。そこで「何らかの手を必ず打ってくる」(前出の司法記者)とみられているのだ。
■官邸と手打ちするしか…
稲田総長が反撃する手段は今のところ、2通りある。1つは、総長就任から2年を迎える今夏の退官勧奨を拒否し、検察庁法に定められた65歳定年まで続投する方法だ。ただ、このやり方だと、林氏の総長就任もなくなる。そこでささやかれているのは、林氏が7月の定年を迎える前に稲田総長と黒川氏がそろって退官する――という方法だが、官邸人事で半年間の定年延長が決まった黒川氏を途中で辞めさせることはできるのか。
「官邸と手打ちするしかないでしょう。そのための切り札は検察側にある。今までスルーしてきた国会議員に対する告発状をバンバン受理して捜査を始めることも考えられますが、手っ取り早いのは、IR汚職事件で東京地検特捜部に収賄罪で逮捕、起訴され、保釈された衆院議員秋元司被告を使うことですよ。秋元被告は、特捜部の調べに対し、カジノ業者から賄賂をもらった国会議員の中に現職閣僚が含まれている、と明かしたと言われている。保釈後も落ち込んだ様子はみられず、『悪いのは俺じゃない』と言わんばかりの強気の態度です。立憲民主党などの野党が要求している証人喚問にも前向きというから、仮に検察が秋元被告に水面下で『知っていることをすべて明かせば罪を軽くしても構わない』と持ち掛ければ、ベラベラ話す可能性はある。現職閣僚に飛び火なんて展開になれば内閣は持たないでしょう」(法務省担当記者)
検察と官邸が今以上にウラで手を握るのは問題があるとはいえ、稲田総長の「次の一手」によって事態が大きく展開するのは間違いない。