桶川ストーカー殺人事件 6年前にがん死したキーマンの手紙から垣間見えた罪の意識
1999年10月26日、JR桶川駅前で女子大生の猪野詩織さん(当時21)が元交際相手の配下の男に刺殺された「桶川ストーカー殺人事件」から26年になる。私はこの間、犯人たちと文通するなどして事件の真相を追ってきた。
◇ ◇ ◇
私が実行犯のひとり、伊藤嘉孝(同32)の死を知ったのは2020年の夏のこと。大分刑務所での服役を終えた伊藤が中津市にいると知って手紙を出したら、弟から電話があり、こう告げられたのだ。
「兄は昨年(19年)10月、がんで亡くなりました」
私は伊藤が服役中も文通して取材したが、事実関係を詰め切れなかった。早く連絡すべきだったと悔やんだ。
この事件では、被害者の猪野さんが元交際相手で、風俗店経営者の小松和人(同27)らから、自宅周辺に猥褻なビラを大量に張り出されるなど凄絶な嫌がらせに遭った。猪野さんを刺した久保田祥史(同34)や、伊藤と共に犯行に同行した川上聡(同31)も和人が営む風俗店の従業員だった。だが、「首謀者」として逮捕されたのは、和人ではなく、風俗店経営を手伝っていた兄の小松武史(同33)だった。
久保田が「武史に頼まれてやった」と供述したためだ。
一方、和人は逃亡先で自死。武史は裁判で無期懲役判決を受けたが、冤罪を訴えており、事件は不透明な印象を残した。
そこで調べてみると、久保田が武史の裁判で「本当は武史から殺害の依頼はなかった」と証言していたとわかった。さらに懲役18年の刑に服していた久保田に手紙を出すと、意外にアッサリと「真相」を明かした。
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