「エプスタイン・ファイル」公開めぐり攻防激化…世論とトランプ政権と議会で三つ巴の綱引き
アメリカでは今、「エプスタイン・ファイル」の公開をめぐる攻防が再燃している。一見、与野党の対立のように見えるが、実際はもっと複雑だ。真実を知りたいという世論と、公開に慎重なトランプ政権、そして政治的思惑を抱える議会が、三つ巴の綱引きを続けている。
ジェフリー・エプスタイン氏は富裕な実業家だったが、未成年者への性的暴行などの罪で失脚し、2019年に拘置所で自死した。「エプスタイン・ファイル」とはその捜査資料の総称で、クリントン元大統領ら、彼と関わりを持った政財界の著名人の名前が含まれている可能性があるとされている。
トランプ大統領は昨年の選挙期間中、「政府の透明性を高める」という公約の一環としてファイル公開を約束した。かつてエプスタイン氏と交流があったとはいえ、トランプ氏が犯罪には無関係だと信じる支持層はこれを歓迎。特に保守層の間では「性的搾取を絶対に許さない」という倫理観に加え、民主党系の大物を追及する動きとしても注目を集めた。
しかし政権発足後、司法省は、捜査やプライバシーへの影響を理由に公開を見送った。これに反発した下院民主党は公開を求める法案を作成したが、採決に必要な署名が最後の1人分だけ足りず停滞していた。


















