全勝対決で土の稀勢の里 白鵬と「大一番の経験」で及ばず

公開日: 更新日:

 横綱の壁は高かった。

 13日目に対戦した横綱白鵬(31)と大関稀勢の里(29)。両者が対戦した時点で、全勝はこの2人のみ。次点は鶴竜日馬富士遠藤の3敗だったから、事実上の優勝決定戦といっても過言ではなかった。

 日本人横綱を待望する観客の声援は稀勢の里に集まったが、しかし、歓声は悲鳴に変わった。軍配は白鵬。稀勢の里も果敢に攻めたものの、土俵際で下手投げを食らって転がされた。

 相撲評論家の中澤潔氏は「見ていて、非常に面白い相撲でした」と、こう続ける。

「稀勢の里は体も締まっており、今場所は自分の相撲に自信を持っていた。なぜ、この相撲がもっと早くできなかったのか、不思議だったくらいです。しかし、白鵬が一枚上手だった。動きの素早さが違いましたね。白鵬は終始、自分から手を休めずに攻めて、稀勢の里に腰を据えて相撲を取る暇を与えなかった。稀勢の里も寄り立てましたが、ここだ! という決定的なチャンスはありませんでした」

 先場所あたりから確かに、稀勢の里は変わった。平幕相手の取りこぼしがなくなり、常に泰然自若。取組直前も、今までのように落ち着かない様子で、パチパチまばたきすることもない。取組前の支度部屋でも険しい顔を崩さなかったのが、最近は穏やかな表情を浮かべるようになった。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 3

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  4. 4

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  5. 5

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  1. 6

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 7

    小野田紀美経済安保相の地元を週刊新潮が嗅ぎ回ったのは至極当然のこと

  3. 8

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 9

    「しんぶん赤旗」と橋下徹氏がタッグを組んだ“維新叩き”に自民党が喜ぶ構図

  5. 10

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み