議論なしで稀勢の里推挙 機能不全“横審”が大相撲を滅ぼす

公開日: 更新日:

 審議の中身を知ったら、本人も愕然とするのではないか。

 22日に閉幕した初場所で優勝し、横綱昇進を確実にした大関稀勢の里(30)。横綱昇進が決まった23日は照れくさそうにほほ笑む場面もあったものの、「体も気持ちも元気。まだまだ強くなります。成績的にもまだまだ、でしょう。もっと成長していかないといけない」と、すぐさま気を引き締めた。

 今場所は休場した日馬富士鶴竜両横綱との対戦はなし。大関の豪栄道戦は不戦勝だった。14勝1敗の優勝といっても、高いレベルでないことは稀勢の里自身も理解しているはずだ。

 しかし、そうした事情はどこ吹く風、議論もせずにさっさと昇進を決めたのが、同日行われた横綱審議委員会(横審)だ。要した時間はわずか15分弱。最初から結論ありきの満場一致だった。

 横審の設立は1950年。その目的は、相撲協会が安易に横綱を乱造するのを防ぎ、「強い横綱」をつくることだ。

 先場所の稀勢の里は優勝次点とはいえ12勝3敗。14勝1敗の鶴竜とは2差もつけられた。こうした2場所連続優勝でない状況の時こそ、慎重な議論をしなければならないはずだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性