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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

メジャー球団拡張構想とレイズの本拠地移転計画の因果関係

公開日: 更新日:

 だが、マンフレッドは「自らの在任中」と述べるものの具体的な時期を示していないことから、本当に球団拡張を実施する意欲があるのか疑う向きもある。

■自治体側への取引材料

 その一方で、レイズが新球場の建設計画を明らかにしたのが、マンフレッドの談話の1週間前だったことは興味深い。

 セントピーターズバーグ市のトロピカーナフィールドに本拠地を構えるレイズの悩みの一つは観客動員数の低迷で、07年以来、より来場者数の増加を見込める都市に新球場を建てることを目指してきた。

 今回、レイズはタンパベイの対岸のイーボーシティーに新球場を建設する計画を示したものの、8億9200万ドル(約990億円)とされる総工費を地元自治体との間でどのように案分するかについては詳細を明らかにしていない。

 だが、レイズによる計画の公表後にマンフレッドが球団拡張の方針を示した意味は大きい。なぜなら今後レイズは自治体側との交渉の際に、「建設費を負担しないなら球団拡張に合わせて本拠地を移転する。それが嫌なら柔軟な対応を」というひと言を取引材料として手にしたからだ。

 それだけに、マンフレッドによる球団拡張の構想も、レイズの新しい本拠地の建設費の負担額が決まった後には、過去の計画と同様に立ち消えになる可能性が高いのである。

(アメリカ野球愛好会代表、法大講師・鈴村裕輔)

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