著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

静観の姿勢とるも…対岸の火事では済まされない香港問題

公開日: 更新日:

 また、中国外交部は否定しているものの、NBAのコミッショナーのアダム・シルバーが「中国側からモーリー氏の解任を求められた」と発言するなど、両者の関係は悪化の一途をたどっている。

 シルバーは「先行きは不透明」と不安を表明しながらも、「モーリー氏の表現の自由を尊重する」として中国側への謝罪を拒否している。憲法修正第1条において信教・言論・出版・集会の自由を明記する米国の国民としては、当然の態度だろう。

 これに対し、現在のところ大リーグでは香港問題に関連する目立った動きは認められない。

 16年にオースティン・ブライス(マーリンズ)が香港生まれとしては最初の大リーグ選手となり、18年に域内最大のショッピングモールであるハーバーシティーに香港1号店となるMLBショップを出店したばかりの大リーグ側にとって、不用意な発言によって新たな商機を失うことだけは避けなければならない。

 モーリー発言への中国側の猛反発を目の当たりにすれば、心中はどうであれ、表立って香港の示威運動を支持することは得策ではないと、静観の姿勢をとることは不思議ではないといえる。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」