新型肺炎猛威で五輪危機に頬かぶり 組織委のウサンくささ

公開日: 更新日:

「火消し」に躍起という感もある。

 国際オリンピック委員会(IOC)と東京五輪組織委員会は、大会の準備状況を確認するための事務折衝を13日から2日間の日程で行った。

 冒頭で組織委の森喜朗会長は、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大について「無責任なデマも流されたが、東京大会の中止や延期は検討されていないことを改めてはっきり申し上げたい」と語った。

 先月30日、新型ウイルスによる肺炎が原因で、「東京五輪・パラリンピックが中止になる」というデマが、インターネットで一時拡散した。森会長は公の場で「五輪中止」を改めて否定したわけだが、根拠に乏しいデマをあえて否定するあたりに、何か触れたくないことがあるのではないかというウサンくささを感じる。感染が拡大している今、国民に伝えるべきはそんなことではないからだ。

「(新型肺炎の感染拡大に関連して)世界保健機関(WHO)から東京五輪の延期や中止の必要はないと言われている」

 IOCのコーツ調整委員長も14日の記者会見でこう断言したが、当のWHOは「何も助言していない」と、この発言を否定。WHOは「現時点で詳しい協議は行っておらず、何の結論にも達していない」としている。

■選手の不安

「ブレないスポーツ報道」の著者である津田俊樹氏(スポーツライター)がこう言う。

「東京五輪の開幕(7月24日)まで約5カ月です。国内での感染者は14日(8時)現在251人。これが正確な数字かどうかもわからない。いたずらに不安を煽るつもりはありませんが、五輪憲章の第1章に『選手への医療と選手の健康に関する対策を促し支援する』とある。どのような状況になれば五輪の中止、延期を考えるのか。危機管理のためにもIOCと話し合う時期に来ているのではないか」

 13日には新型コロナによる国内初の死者も出た。五輪開幕は7月でも陸上や水泳体操など、代表選考会は屋外、屋内競技とも5月まである。

「試合会場や観客、各競技団体の合宿先、ナショナルトレセンなどのウイルス対策は万全なのか。選手たちが抱えているであろう不安を、組織委員会はきちんとした説明で取り除かなければなりません」(前出の津田氏)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘