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藤田信之日本実業団陸上競技連合顧問

1940年10月、京都府出身。洛北高卒業、京都市職員を経て68年ユニチカ陸上部コーチ、72年監督就任。86年ワコール初代監督、99年グローバリー初代監督、2005年シスメックス初代監督、11年同陸上部顧問退任。現在、日本実業団陸上競技連合顧問。

中国・王軍霞の世界記録を生んだのは「犬のシチュー」か、それとも禁止薬物だったのか

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 1993年に中国全国運動会で王軍霞が1万メートルで出した29分31秒78という記録は今でも世界歴代4位だ(現在の世界記録は29分1秒03)。当時は女子が1万メートルで30分を切ることなど想像すらできなかった。

 その事実を新聞の見出しで見て、詳細が知りたくて電車を降りたが田舎の駅で売店はない。公衆電話から会社へ電話をしてラップを聞くと、ラスト3000メートルを8分17秒台と聞いて、また驚いた。T・カザンキナ(旧ソ連)の3000メートルの世界記録(8分22秒62)を上回るハイペースだったからだ。

 同大会で中国選手が女子の1万、3000、1500メートルの世界記録を更新したことで、海抜2300メートルの高地で1日40キロ以上走るトレーニングや彼女たちが飲んでいるといわれる犬のシチューや鶏スープが注目され「あのスープに禁止薬物が入っているはずだ」と、ここでも疑惑の目が向けられた。

 馬俊仁監督率いる馬軍団は冬虫夏草入りのすっぽんスープも飲んでいたと聞き、2002年ごろ、中国・昆明の合宿中に現地で材料を買い、同じスープを作って選手に飲ませたこともあるが、効果のほどはわからなかった。ちなみに、陸連は馬軍団の練習に選手派遣を決めたが実現しなかった。

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