著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

球界の嫌われ者ピート・ローズを利用するトランプの思惑

公開日: 更新日:

 また、大リーグ機構による永久追放処分の解除の可能性が低いとみると、2016年には野球殿堂を直接説得しようとして失敗するなど、ローズの球界への復帰はほとんど絶望的といえる。

 しかし、ローズに思いがけない支援者が登場した。トランプだ。トランプが今年2月9日に「賭博をしたが賭けたのは自分のチームだけであり、数十年という代償を払った。ピート・ローズを野球殿堂に入れよう。今がその時だ!」という趣旨のツイートをしたのである。

「賭博はしたが、賭けたのは自軍だけだ」という点はローズが繰り返し述べてきた内容であり、ローズが永久追放処分を不当とする根拠でもある。いわば、トランプの発言はローズの主張を全面的に受け入れ、1989年の処分を否定するものだ。

 もちろん、たとえ大統領の発言であっても、球界がにわかにローズの追放処分を解くことはないだろう。だが、これまで歴代コミッショナーだけでなく、歴代の大統領も冷淡な態度を示してきた永久追放処分の解除の問題に積極的に言及したことは、ローズには画期的な出来事だ。

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