弱点の原因を見つけ修正…坂本と誠也に共通していた反復力
人を育てるのは時間がかかるものだ。
例えば打つ時に体が前に突っ込んでしまう選手がいる。これを「突っ込むな」と言うだけなら指導とは言わない。
まずは体が前に出てしまう原因を見つけだす。その後は修正する練習法を考える。長年の染みついた打ち方を変えるのだから、選手にはつらく、苦しい作業になる。時間がかかって当然だ。それを継続するのはさらに難しい。ここからは本人の意思次第。こちらがいくら熱心にああだこうだと言ったところで、選手自身が脇目もふらずに反復してくれないと身につかないからだ。
私の見てきた中では、不器用な選手の方が成功することが多い。
器用な選手はすぐにできてしまうため、さっさと次に行ってしまう。ただ、実は習得の度合いが浅く、本当の意味で身についていないことがよくある。半面、不器用な選手は、時間はかかっても、亀のごとく着実に前に進んでいくため、しっかり身になっているケースが多い。習得に要した時間は、習熟度に比例するというのが私の持論だ。ここまでやって、ようやく人は育つ。