考える力を鍛えられた近大相撲部時代の「教えない指導」

公開日: 更新日:

「物静かなおとなしい子でしたね」

 こう話すのは近畿大学相撲部の元部長、南孝之介氏。今年1月場所中に急逝した伊東勝人監督の3歳年上で、朝乃山が大学2年時まで部長を務めていた。

「入学当初はまだまだそこまで強くはなかった。2年、3年と学年が上がるにつれて強くなっていった。真面目でコツコツ取り組んだ結果でしょう。まあ、それでもテレビを見ながら、『もうちょっと早く左上手を取れればいいのに。おっつけて下から取れよ』なんて思っていますけど(笑い)」

 当時は同級生の朝玉勢(現十両、高砂部屋)の方が強かったものの、上級生になる頃には逆転したという。

 富山商業高校時代はひたすら基礎体力のトレーニングに明け暮れた朝乃山。大学では伊東監督のユニークかつ、考える指導で鍛えられた。

「普通の相撲取りがしない練習もありましたね。そのひとつが土俵に四角のマスを3×3の9個描き、まず中央に立つ。そこで伊東監督が『前、後ろ、横、ナナメ前!』と声をかける。力士はその方向に両足を揃えて跳ぶんです。これは持久力や反射神経を鍛えるため。たとえば、立ち合いで相手が変わった場合、動きについていけなければ変化を食ってしまいますからね」(南氏)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ