いつミスを叱るか…米マイナー視察で“冷却期間”効果を実感
広島の二軍打撃コーチだった頃、オフに球団からこんな話が舞い込んだ。
「臨時全米スカウトとして米国を回って、いい選手を見つけてきてくれ」
指導者になってから、いつか米国の野球を見て勉強したいと思っていた。そのために妻に貯金を頼んでいたほど。それが、球団のお金で行けるなんて、こんなに素晴らしいことはない。緒方孝市が1Aチームに野球留学した1989年オフのことだ。
助っ人選手を探すという名目だが、マイナーリーグを巡回しながら、各チームの指導者とも交流した。華やかなメジャーとは対照的に、マイナーは全てが質素。地方への遠征の際はモーテルのような安宿に泊まるし、給料も安い。私には球団から交際費も出る。マイナーのコーチなどを食事に誘い、米国式の指導法を聞いて歩いた。彼らと仲良くなると、「日本から視察に来た指導者」ということで、グラウンドにも入れるようになった。