五輪不信が世界中に…IOCの簡素化アピールでは払拭ならず

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3兆3000億円がパー

競技団体のトップが「中止」を示唆する中、五輪縮小案を打ち出したのがIOCだ。

 10日、大会規模や経費を見直すための200に及ぶ項目をまとめ、オンラインの理事会で今後の対応策などを協議した。

 5月下旬には、2032年夏季五輪の開催を検討していたオーストラリアのクイーンズランド州が、招致の議論を保留すると決めたばかり。「新型コロナの対応に集中するため」と主張しているものの、それだけが理由とは思えない。

 東京五輪の開催費用は当初見込まれていた3000億円から10倍、総額3兆円にまで膨れ上がった。その上、1年延期になったことで必要な追加費用が約3000億円といわれる。うち約860億円をIOCが肩代わりするというが、それを差し引いても莫大な金額を今回のようにドブに捨てる可能性も出てきた。中止にするもしないも、最終的にはIOCの腹ひとつ。仮に開催できたとしても、マラソン競歩のコースが突然、札幌に変更されたように結局はIOCに振り回されることになる。そんなリスクを背負ってまで五輪を招致する意味はないと考える国や都市が続出しても不思議ではない。IOCによる大会のコンパクト化、費用削減は今後、招致活動に二の足を踏む国や都市へのアピールに違いない。

■IOCは組織存続の危機

 五輪に詳しいジャーナリストの谷口源太郎氏は「世界各国で五輪への関心が薄れている」と、こう続ける。

「IOCのバッハ会長は就任直後の2013年から世界各国を回り、五輪開催を売り込んだものの、どの国も反応は良くなかった。IOCは1度の五輪でおよそ1兆円の収入があるそうです。それも各競技団体に分配しなければならないので、手元にどれだけ残るか。もし、五輪が開催できなければ、IOCという組織の存続危機です。そのため、都市にこだわらない分散開催など、開催のためなら何でもありになってしまった。ただでさえ、1984年のロス五輪から商業化が激しく、五輪そのものが不信感を抱かれている。そこにきて、新型コロナ騒動でのドタバタ。改めて五輪への不安や疑問が表面化してしまった」

 谷口氏は「今回の件で五輪の理念は完全に失われた」とみる。

「オリンピアードという言葉がある。これは古代オリンピックからある概念で、4年間を一区切りにし、その初年度に競技大会を行うというもの。だから、戦争で中止になった1916年のベルリン五輪なども、正式に『第6回オリンピック競技大会』と記録されるわけです。それが1年延期では、4年に1度も何もない。ならば延期に伴う特例を書き加えるなど五輪憲章を改定すればいいのに、弁護士出身でルールに厳格であるはずのバッハ会長は、それをしようともしない。残ったものはオリンピックの名を借りた、マネーファースト、国家ファーストのスポーツイベント、というだけです」

 五輪で騒ぐ時代は終わった――。

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