五輪不信が世界中に…IOCの簡素化アピールでは払拭ならず

公開日: 更新日:

「表向きには言えないが、かなり懸念しているのが実情です」

 ある競技団体のトップは、来夏に延期された東京五輪について、中止への不安を口にした。

 五輪の開催可否の判断時期を巡っては、組織内でもさまざまな意見が飛び交っている。5月末にIOCのコーツ調整委員長が「今年の10月までに(コロナの)封じ込めの兆しが見られれば、大会の開催に向けたさまざまなシナリオについて検討を始める」と発言。10月が重要な分岐点になるとの見方を示した一方、日本の五輪組織委の遠藤会長代行は、来年3月ごろに判断すべきと、火消しに奔走した。

 しかし、世界では依然としてコロナ感染者が増加中。米国では連日1万人以上の感染者が出ているし、南米ではブラジルなどで感染爆発が起きている。来夏までに終息する保証はない。各競技の予選開催も不透明なまま。東京五輪の1年後の2022年11~12月に予定されているサッカーW杯(カタール)についても、主催者のFIFA(国際サッカー連盟)が延期を視野に入れることを検討し始めたとの報道もあったほどだ。

■競技団体幹部は東京大会の中止を示唆

 前出の競技団体トップは、こうした事情を踏まえて、「スポーツを行うためには前提条件がある。『安心安全』と『平等』が担保されなければ、五輪中止もやむを得ない」と、こう話す。

「五輪は世界のトップアスリートが競い合う場であり、クーベルタンが唱えたオリンピズムには、『スポーツを通して心身を向上させ、文化・国籍などさまざまな違いを乗り越え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって、平和でよりよい世界の実現に貢献すること』とある。コロナに対する不安を払拭し、プレーする人や観戦する人、競技を支える人が安心安全かつ平等に楽しめる状況にならないといけない。健康な体をつくるためにスポーツをやっているのに、命の危険がある状態ではできない。国によって練習ができたりできなかったり、アスリートが置かれている環境は平等ではない。不安と不平等の状態がいつ解消されるのか、一向に見えてこないのだから」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?