少年相手にフォーク 何事も“全力投球”の元ロッテ村田兆治

公開日: 更新日:

「アキレス腱一本勝負? なに、それ?」。ポカンとする記者たちを見回すと村田コーチはこう付け加えた。

「アキレス腱が切れる寸前まで走り込まないとダメだ」

「エッ、そんなにアキレス腱に負担をかけていいの? どうやって切れる寸前だとわかるの? 万が一、切れたらどうするの?」。報道陣はみなそう思ったが、口には出せなかった。村田コーチの自信と迫力に圧倒されたからだ。もちろん「アキレス腱うんぬん」は投手にとって走り込みがいかに大事かを、村田コーチ独特の言い回しで表したものであろう。

 村田氏はユニホームを脱いだ後、離島での野球教室や大会を行い、野球の底辺拡大に熱心に取り組んでいる。ある時、村田氏が少年相手に投げたことがあった。速球になかなかバットにボールがかすらない中、1人の少年がファウルチップした。大喜びする少年。その直後だ。村田氏はフォークボールを投げると空振りさせた。そして思わず小さくガッズポーズをしてしまったそうだ。

 村田氏のモットーは完全燃焼という。何事にも全力投球だ。多少の手加減はしても、子供相手だからとミエミエの手抜きなどかえっていけないと考えだろう。いかにも村田氏らしい。

▽富岡二郎 スポーツジャーナリスト。1949年生まれ。東京都出身。雑誌記者を経て新聞社でスポーツ、特にプロ野球を担当。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー