東京五輪「数々の嘘」にまた一つ…新会長選びも“完全密室”

公開日: 更新日:

 森前会長の「川淵指名」が白紙となった新会長選び。「透明性の高いプロセス」が求められたが、16日からの候補者検討委員会は「完全密室」で行われ、18日の理事会は検討委員会が決めた「橋本聖子」にお墨付きを与えただけ。「透明性」が聞いて呆れる、出来レースのにおいがプンプンである。

【写真】この記事の関連写真を見る(09枚)

■「東京は理想的な天候」

 そもそも今回の東京五輪は、招致段階からインチキの積み重ねだった。立候補ファイルには、「(東京は)晴れる日が多く、かつ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」と明記されているが、昨今の東京は「災害的」「殺人的」な酷暑である。

■「福島の状況はコントロール下にある」

 招致の最終プレゼンでは当時の安倍首相が、「福島の状況はコントロール下にある」とも述べた。実際には、汚染水は港湾外にダダ漏れで「汚染水の影響は港湾内0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」というのも大嘘だった。そして安倍、菅の両首相に組織委員会も、「復興五輪」を世界にアピールし続けてきた。

 東日本大震災の津波で大被害を受けた岩手県陸前高田市出身の菅野徳雄氏(評論家)が「冗談じゃありませんよ」とこう語る。

「安倍総理の言葉もそうだが、大震災や原発事故からの復興を五輪に利用することにも、多くの被災者は怒っています。私の故郷は生まれ育った頃の面影はまったくない。たまに田舎に帰っても、どこがどうだったか見当もつきません。あれから10年です。復興が遅れ、地元民の多くは花巻や盛岡に引っ越した。福島には原発事故で故郷を失った人も多い。そんな人たちにとって復興五輪なんてとんでもない話です」

■「コンパクト五輪」

 嘘っぱちといえば、選手村から半径8キロ圏内に競技場の85%を配置する「コンパクト五輪」は早々に消えてしまい、当初は約7340億円だった大会経費も、2019年12月に会計検査院が公表した調査報告書と試算によれば、3兆円超になることがわかった。コロナ禍がなくてもコレである。

■コロナで全世界から不信感

 昨年3月24日、コロナで五輪の1年延期が決定すると、東京都の感染者が急増。ネット上では国や東京都への「不信感」が飛び交った。日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和前会長は、招致に絡む贈賄容疑でフランス当局の捜査の対象になった。

 ◇  ◇  ◇

 そして、密室で誕生した橋本新会長は、森前会長の秘蔵っ子で、彼女を強く推したのは菅首相と森前会長と昵懇の御手洗冨士夫組織委名誉会長(85)といわれている。

 今回の人事は「嘘まみれ五輪」の極め付きではないか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・田中将大「巨大不良債権化」という現実…阿部監督の“ちぐはぐ指令”に二軍首脳陣から大ヒンシュク

  2. 2

    ヘイトスピーチの見本市と化した参院選の異様…横行する排外主義にアムネスティが警鐘

  3. 3

    国民民主党「新人都議」に渦巻く“スピリチュアル疑惑”…またも露呈した候補者選定のユルユルぶり

  4. 4

    巨人・田中将大を復活させる「使い方」…先発ローテの6番目、若手と併用なんてもってのほか

  5. 5

    「時代に挑んだ男」加納典明(25)中学2年で初体験、行為を終えて感じたのは腹立ちと嫌悪だった

  1. 6

    高橋真麻がフジ港浩一前社長、大多亮元専務を擁護の赤っ恥…容姿端麗な女性集めた“港会”の実態知らず?

  2. 7

    参院選「自民裏金議員15人」で当確5人だけの衝撃情勢…比例は組織票があっても狭き門

  3. 8

    ドジャースが欲しがる投手・大谷翔平の「ケツ拭き要員」…リリーフ陣の負担量はメジャー最悪

  4. 9

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  5. 10

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?