日本人にとっての「多様性」とは? 東京五輪はそれを考える大きな契機に

公開日: 更新日:

 国自体が他人種、他民族によって成り立っているので、もともと、そのように違う人種間に生まれた子供に対する特別な意識が日本よりはるかに希薄なのだろう。というより、その出自をたどれば、米国人のほとんどが「多様性」に行き着くのではないか。

「日本にはもともと他人種間に生まれた人や外国から帰化した人たちを受け入れてきた歴史はなかった。多様性という言葉の意味を考えたくなかった日本人にとって五輪の点火式に大坂なおみを選んだことは大きな一歩ではあった」

「超高齢化社会を迎えた日本は外国からの労働力に頼らざるを得なくなっている。2020年のデータによれば日本の人口のおよそ2%は日本人ではない。そのような人たちに対する移民排斥や少数派に対する差別が表立って日常で見受けられることは少ないが、それは必ず日本人の中に存在しており、それは時として露骨に浮き上がってくることがある」

「大坂が女子テニス3回戦で姿を消してしまった時、ソーシャルメディアには彼女のアイデンティティーを攻撃する言葉があふれ、ひどいものの中には開会式での勇姿から手のひらを返すように『彼女に日本を代表する資格はない』といった言葉まであった」

 東京五輪は日本人にとって「多様性」とは何かを考える大きな契機となるはずだ。

(米紙コラムニスト、ビリー・デービス)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃