大谷は来季2ケタ勝利2ケタ本塁打に自信見せるも…「今季がデキ過ぎ」がメジャー通2人の見方

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 投打の二刀流で全米を席巻したエンゼルス・大谷翔平(27)が、帰国後2週間の隔離期間を終えて15日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見した。

 今季は投げては23試合に先発し、9勝2敗、防御率3.18。打っては打率.257、ア・リーグ3位の46本塁打、100打点、26盗塁。日本時間19日発表のア・リーグMVPの最終候補3人にエントリーされている。1910年代のベーブ・ルース以来のリアル二刀流での活躍からMVP選出が確実視されている。

 リアル二刀流として実質2年目となる来季について「打撃もそうですけど、特にイニング数(130回3分の1)はそこまで多くないので、数を増やしていけたらもっと高いレベルで数字も残るんじゃないかと思います。どれぐらい試合に出られるか、どれぐらい打席に立てるか、どのぐらい登板できるかというのが一番かな」と、今季逃したルース以来の「2ケタ勝利と2ケタ本塁打」達成に自信を見せた。

 来季はジョー・マドン監督、ペリー・ミナシアンGMの方針から外野手としての出場が増える見込み。DHが使えないナ・リーグ本拠地でのインターリーグ(交流戦)は10試合。今季、敵地での交流戦は登板日以外、代打での出場にとどまったが、外野守備に就けば、それだけ打席数が増えることになる。

 大谷は「健康でシーズン通して出続けることが一番」と、故障さえなければ結果は付いてくると来季の更なる飛躍を口にしたが、本人の思惑通り二刀流として今季以上の活躍ができるのか。

■投打フル回転の反動

「今季後半のカットボール、スプリットを織り交ぜた投球ができれば、ピッチングそのものに関しての不安はないと思いますが……」とJスポーツ大リーグ中継で解説を務める評論家の三井浩二氏がこう続ける。

「もっとも、来季は二刀流を貫いた今季の反動が、少なからずあるとみています。大谷は来季も投打の主軸であることに変わりはなく、今季以上にフル稼働を求められる。投打だけでも体力的に厳しいのに、外野守備の負担まで増えれば当然、ひずみが生じてもおかしくはない。来季は主砲トラウトが復帰するとはいえ、本塁打のペースが落ちた今季後半戦同様、相手バッテリーの厳しいマークに遭うのは変わらない。今季のように開幕から本塁打を量産するのは難しいと思う。打撃不振が長引けば、投球にも悪影響を及ぼしかねないだけに、投打とも今季のような成績は期待しにくいのではないか」

同僚が危惧する外野守備による故障リスク

 同僚のアップトン外野手は、大谷が外野守備に就くことを危惧している。外野フェンスに激突したり、バックホームなどの強い送球で肩、肘を痛める可能性もあるからだ。

「メジャーでは、バミューダグラスなど、足に絡みやすい芝を使用している球場もあり、外野守備に不慣れな大谷にとって、故障リスクは避けられません。エ軍の来季の外野は左翼アップトン、中堅トラウト、右翼マーシュ、アデルの若手2人とみられています。トラウト以外は打撃で計算できないため、大谷が外野の守備に就く機会も増えるはずです。二刀流の負担を考えれば、今季はデキ過ぎで、今年の8、9月の状態から見れば、守備の負担が増す来季の本塁打数は、30本前後にとどまるのではないか」(スポーツライター・友成那智氏)

 大谷は会見で今季に関して、「ケガも続いてましたし、去年もあまりいいシーズンだとは言えないシーズンだったので、これから先、多くのチャンスをもらえる立場ではないなというのがひとつ、(昨年までとは)大きく違うところかなとは思う」とも言った。

 昨年までメジャー3年間の通算成績は投手として4勝3敗、打者として47本塁打。「二刀流」と言いながら、実際には投手としても打者としても大した成績は残していない。

「多くのチャンスをもらえる立場ではなかった」と言うように、今年結果が出なければ投打のどちらかを召し上げられる可能性もあった。窮鼠猫を噛むじゃないが、何が何でも結果を残さなければならない状況で残ったのが「9勝」と「46本塁打」だった。開幕からフルスロットル、常に張り詰めた気持ちでプレーしたからこそ、ハードな二刀流にも耐えられたのではないか。

 迎える来シーズンはしかし、状況が百八十度異なる。ルース以来の本格的な二刀流選手としてメジャー29球団からマークされて、「9勝、46本塁打」がスタート地点になる。来季も同様の精神状態で臨めるかは疑問のうえ、外野守備も含めて大谷の肉体には今年以上の負荷がかかることになる。

「今季のような成績は期待しにくい」「今季はデキ過ぎ」という見方がもっともという気がしてくるのだ。

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