著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

苦境のレガネス柴崎岳「ここにあり!」を示すチャンスが到来した

公開日: 更新日:

柴崎岳(レガネス/29歳)

「僕自身は常にベストを尽くしているが、いいこともあれば悪いこともある。どんな世界でもそうだと思います」

 2021年10月のサウジアラビア戦(ジェッダ)で致命的なパスミスを犯し、スタメン落ちした2018年ロシアW杯16強戦士の柴崎岳(レガネス)。守田英正(サンタクララ)の出場停止により、翌11月のオマーン戦(マスカット)では再び先発に抜擢されたが、前半のみで交代。苦境に立たされている。

 それでも森保一監督は時折、彼に歩み寄って会話を交わすなど特別な信頼を寄せている様子。

「森保さんは優しい人なのでいろいろと気を使っていただいている」と話す彼は、恩師のために再起を賭ける。

■ロシアW杯の主力が背負うもの

 2022年カタールW杯最終予選の大一番・中国戦が27日夜、埼玉スタジアムで行われる。吉田麻也(サンプドリア)と冨安健洋(アーセナル)のDF2枚看板を欠く中、昨年12月に監督交代のあった不気味な敵に対し、日本はどんな戦いを見せるのか。確実に勝ち点3を奪えるのか。大いに注目される。

 森保監督は前日会見で遠藤航(シュツットガルト)を主将に据えることを名言。長友佑都(FC東京)、大迫勇也(神戸)ら経験豊富な面々と一緒にチームを支えていくことになるが、ロシアW杯の主力だった柴崎が背負うべきものも大きい。

 今回の基本布陣もおそらく4DF-3MF-3FWで、インサイドハーフには守田と田中碧(デュッセルドルフ)が陣取ると見られることからベンチスタートが有力だが、「僕が出たらしっかりとチームに貢献したい」と与えられた役割を全うする構えだ。

 とはいえ、11月のW杯本大会を視野に入れると、今後も控えに甘んじ続けるわけにもいかない。インサイドハーフは大激戦区。実績ある柴崎と言えども、絶対安泰と言い切れないところがあるからだ。

インサイドハーフは大激戦区

 インサイドハーフ候補者を今一度見てみると、目下のところは上記2人がファーストチョイス。そこに加わったのが、ケガから復帰して4カ月ぶりに代表復帰した久保建英(マジョルカ)だ。

 彼はサイドでの起用が有力と見られたが、「僕はインサイドハーフなら全然できると思いますよ」と自信満々にコメント。より高い位置でゴールに直結する仕事をするつもりだ。柴崎もパスやシュートなど攻撃的プレーを得意とする選手。FK・CKのキッカーという点も含め、久保と役割が被る部分は少なからずありそうだ。

 今メンバーから落選した鎌田大地(フランクフルト)も、所属クラブでこの位置を担っており、着実に実戦経験を積み重ねている。

 17~21日の国内組合宿に参加した江坂任(浦和)と脇坂泰斗(川崎)も虎視眈々とチャンスを伺っている最中。先の高校サッカー選手権で優勝した青森山田高のエース・松木玖生もインサイドハーフをこなせる。柴崎にとって後輩となる若武者のごぼう抜きを含め、誰が浮上してもおかしくない状況と言っていい。

■日本を勝たせる存在になるしかない

「新たな選手の台頭を僕はプラスに感じています。誰が出ても異なる特徴やプレーを出せば、日本代表の勝利につながる。誰かのパフォーマンスが上がらないとか、ケガ人や不測の事態を補う人材がいるというのは、チームにとって非常にいいこと」

 今年30歳を迎える年長者らしい発言ではあるが、最終予選ラスト4戦で「柴崎、ここにあり」を改めて示す必要があるのも事実。仮に控えに回ったとしても、彼には短時間でも出番は与えられる。その機を逃す手はないのだ。

 昨年11月に柴崎とスペイン2部で直接対決した岡崎慎司(カルタヘナ)も「岳はレガネスの主力で、他チームの監督やスカウトからも『あいつは、いい選手だ』と言われてる。対戦した時も、あのパフォーマンスなら代表で試合に出るのは当然だと感じた。10月のサウジ戦のパスミスでいろいろ言われたけど、あとは自信を持つしかない」とエールを送る。

 ともにロシアで戦った先輩の言葉にあるように今の柴崎に必要なのは「確固たる自信」なのかもしれない。非凡な攻撃センスと高い技術は誰もが認めるところ。後輩たちの全国制覇をいい刺激にして、中国戦と2月1日のサウジ戦では「日本を勝たせる存在」になるしかない。

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