高木美帆が「大きな存在」と心酔 超敏腕ヨハンHCとの“二人三脚”は北京五輪で見納めか

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 圧巻の滑りで五輪3大会目の出場にして個人種目初の金メダルだ。

 17日、スピードスケート女子1000メートルで高木美帆(27)が1分13秒19の五輪新記録で優勝。今大会5種目7レースに出場した高木美は4個目のメダルとなった。

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「この五輪、出だしはつらいことがたくさんあった。ヨハンがいないこともあり、調子を上げきれなかった。最後に自分のすべてを出しきることができた」(高木美)

 試合後の会見中に喘息のような症状が出て咳き込むなど、体はボロボロ。身を削りながら戦った高木美を頂点に導き、号泣する彼女を熱い抱擁でねぎらったのが、新型コロナ陽性から復帰したヨハン・デビット・ヘッドコーチ(HC)である。

 高木美が事あるごとに「大きな存在」と口にするこのオランダ人コーチは2015年5月に就任するや、14年ソチ五輪でメダルゼロだったスピードスケート陣を劇的に変えた。18年平昌五輪で金3個を含む史上最多の6個のメダルを獲得。今大会もすでに競技別で最多の5個を稼いでいる。10年バンクーバー五輪・スピードスケート男子日本代表の土井槙悟氏が「貢献度は非常に高い」とこう続ける。

「ソチ大会後に日本がナショナルチーム化するにあたり、スケート王国のオランダが常日頃から積み上げていることを徹底して教え込んでいる。ドーナツを頬張る選手を『勝つ気があるのか』と叱責するなど、食事や体脂肪率などを厳しく管理するだけでなく、科学的なデータを基にした細やかな指導が日本人選手にマッチしているのでしょう。代表チームとして1年のうち300日間も寝食を共にし、トップ選手同士を切磋琢磨させた。スピードスケートはレベルの高い選手の後ろを走ったりすることで、上達するコツをつかみやすい競技ですから、男子も含めて前回平昌大会から大きくレベルアップしていると感じます」

 海外遠征時の移動時間を短縮するため、飛行機の乗り継ぎ回数を減らすようスケート連盟に要望。屋外でのロード練習にも力を入れ、1日100キロを自転車でこがせることもある。

チーム、連盟は続投を望むも…

 当然、チーム、連盟内では26年ミラノ・コルティナ五輪に向けて続投を求める声が高まっているのだが、放送関係者が言う。

「北京大会を最後に代表を牽引してきた小平、高木美の姉・菜那が引退する可能性がある。27歳の高木美以降の若手の育成が急務です。とはいえ2大会連続の功績により、報酬アップは不可欠。年俸1000万~2000万円程度といわれるヨハンは今、オランダ人の妻と子供と共に日本で暮らしているが、来日してはや8年。大きな実績をつくった上に、高木美が金メダルという大目標を達成。一区切りをつけたい気持ちもあると聞きました。母国オランダはもちろん、日本での実績を評価する各国から引っ張りダコになるのは必至です」

 高木美との二人三脚は、北京が最後になるかもしれないというのだが……。

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