鈴木誠也がメジャー球団に買い叩かれる…シーズン短縮の大波紋、一日も早く決めたい移籍先

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 日本球界を代表する長距離砲が渡米前から逆風に見舞われている。

 広島からポスティングシステムでメジャー移籍を目指す鈴木誠也(27)のことだ。

 米大リーグ機構(MLB)と選手会が日本時間2日までフロリダ州ジュピターで9日間にわたって行っていた新労使協定交渉が決裂。ロブ・マンフレッド・コミッショナーは31日の開幕を延期し、最初の2カードを中止すると発表した。代替試合は行わず、162試合のレギュラーシーズンは、155試合制に短縮される見通しだ。

 これまで多くの日本人選手が渡米1年目の壁に阻まれてきた。不慣れな米国の生活や環境もあって、夏場以降に調子を崩して成績が低迷する日本人ルーキーは少なくなかった。シーズンが短縮されれば、メジャーの過酷な移動、長丁場による疲労が軽減され、故障も防げるため、今回の開幕延期は誠也にとっては追い風になる部分もあるが、それ以上にマイナス面がデカい。

 誠也は昨年11月21日に獲得可能選手として公示された。交渉期間は30日間だが、12月2日にロックアウトに突入したため、20日間を残して交渉は凍結された。中ぶらりん状態を強いられている誠也は1日、テレビ新広島のインタビューに応じ、「こういう状況になるのはある程度分かっていたが、ここまで長くなるとは思っていなかった」と複雑な心境を吐露。新天地については「ロックアウトしてから全く交渉していないので何も分からない」と困惑を隠さなかった。

足元を見てくる可能性

 代理人のジョエル・ウルフ氏は米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」の取材に、「彼は今年大リーグでプレーすることに100%の力を注いでいる。彼は驚くべき忍耐と決意を示している」と持ち上げているが、今後は度重なる試練にさらされるのは必至だ。

「移籍交渉は期限ギリギリまで行われるのが常ですけど、鈴木は一日でも早く新天地を決めたいでしょうから」とスポーツライターの友成那智氏がこう続ける。

「ロックアウトに突入する前におおかた、オファーは出揃っているはずですが、誠也の獲得に動く各球団とも、さっさと所属球団を決めて準備を進めたい彼の足元を見てくる可能性は否定できない。当初、誠也の契約は5年総額約70億円規模になるとみられていましたが、条件を抑えられるかもしれません」

 そうやって買い叩かれ、契約書にサインした後も雑務は山積。外国人選手がメジャーでプレーするには米国大使館で「P-1」ビザを取得する必要があるものの、申請の際に課される面談は予約制だ。大使館に空きがなければ数週間から1カ月近く待たされることも珍しくない。他にも、新天地での住居探しや銀行口座の開設などやることはてんこ盛りだ。

■実戦不足は必至

 渡米1年目の誠也にとっては開幕までの時間が限られるのも痛手だ。MLBはすでに新労使協定締結後、3~4週間で開幕する方針を明かしており、通常1カ月近く行われるオープン戦は2週間程度に短縮される可能性もあるのだ。

「キャンプでの練習はともかく、実戦の場での調整機会が限られるのは、ルーキーにとって致命傷になりかねません。日本人野手の多くが渡米1年目のオープン戦でメジャーの投手のツーシームにてこずってきた。松井(ヤンキース)や大谷(エンゼルス)も例外ではなく、開幕に向けて不安視されたものですが、開幕後に結果を残せたのは1カ月に及ぶ調整期間があったからこそです。なのに鈴木にはそれだけの時間がない。入団したチームによっては開幕後も低迷が続けば、地元ファンの風当たりが強まるなど周囲からの反発を招きかねない。労使協定が期限切れを迎えることは事前に分かっていたこととはいえ、ロックアウトの長期化は誠也にとっては不運としか言いようがありません」(友成氏)

 調整不足による故障のリスクも含めて日本人ルーキーの先行きは極めて不透明と言わざるを得ない。

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