阪神「落合博満監督」誕生は消滅…金本・矢野路線継承はフロント“外様嫌い”の裏返し

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「次期監督については『矢野野球』を引き継ぐなど、描いている監督像はあるか?」

 阪神の谷本修オーナー代行は15日の阪急阪神ホールディングスの株主総会後、報道陣から今季限りでの退任が決まっている矢野燿大監督(53)の後任人事について問われると、こう答えた。

「(助っ人に頼りすぎると)骨太のチームにならない。ようやくチームとして、顔となる選手、軸となる選手が投打ともにドラフト上位の選手が名を連ねてくれるようになってきた。そこは継承していきたいと思っております。そうならないと本当の強さは出てこない。他のチームを見ていてもそうなので。タイガースも交流戦の最後は3番、4番、5番が全部ドラ1っていう。(近年では)たぶん初めてだと思うので。そこはチームとしては継承しながらと思っています」

 谷本オーナー代行は、後任監督選定のキーマンといわれている。そのキーマンは今のヤクルトや数年前の広島のような、生え抜き選手を中心としたチームづくりを目指しているわけだ。

■金本、矢野路線の継承ができるか否か

「その意味では前任の金本監督、現在の矢野監督体制の継承ができる人材を、と考えているようです」(在阪放送関係者)

 そんな中、ファンやメディアから次期監督への待望論が上がっている元中日監督の落合博満氏(68)がスポニチのインタビューに応じた。

 阪神の逆転優勝の可能性については「今年の阪神は12.5差でも、80試合近く(78試合)残っているなら、可能性はなくはない」とした上で「打つのを期待するより、投手力で勝つしかない」と断言。課題の打撃についても、「今年の阪神の打線は淡泊な部分が見える。しつこさがない。きれいに点数を取ろうと思っても取れるもんじゃない。泥くさくてもいいから、勝つ野球をやらないと。打率が低いという数字が出ているんだから、打てないもんだと思って野球をやればいいじゃないか。ないものねだりしてもしょうがない。相手より1点多く取ればいいんだからな」とした。

 落合氏は中日監督時代の2011年、一時はヤクルトに10ゲーム差をつけられながら逆転優勝。チーム打率.228、419得点はともにリーグ最下位ながら、リーグトップのチーム防御率2.46を誇る投手力を前面に出して勝った。阪神も今季はチーム打率.232はリーグ最下位で206得点はリーグ4位。一方でチーム防御率2.65はリーグトップ。成績だけ見れば、当時の中日と状況は似ている。

勝ち方を教えてくれる監督になれる

 阪神ファンの宮本勝浩氏(関大名誉教授)は「あのころの中日は谷繁や岩瀬ら優勝経験が豊富で勝ち方を知っている選手が多かった。もし落合さんが阪神の監督になれば、今までとは違ったやり方でチームを強くしてくれるという期待が持てます」と、こう続ける。

「阪神はたまたま交流戦で勝ち越しましたが、シーズンで同じような戦い方ができるかどうかはわかりません。開幕当初はズルズルと黒星を重ね、連敗を止める効果的な手をなにも打てなかったわけですから。むこう1~2年を見ても、長打を打てる助っ人などの野手の補強が必要でしょうし、1点でも多く取れる打線をつくることも大事。生え抜きのOBでは05年に優勝するなど経験豊富な岡田彰布さんが後任候補に挙がるでしょうが、阪神が00年代に常に優勝争いをすることができたのは、02~03年に指揮を執った星野仙一さんが球団を大改革してくれたことが大きいと思います。外様の落合さんなら、選手に勝ち方を植え付けてくれるだけでなく、フロント改革にまで踏み込んで、強化してくれるかもしれません」

 阪神は暗黒時代が続いた90年代後半、外部から野村克也、星野仙一という実績のある大物監督を招聘。野村時代は3年連続最下位ながら種をまき、後を受けた星野時代の03年にリーグ優勝という形で結実した。

■既得権益との対立

 しかし、前出の宮本氏が「落合さんはコーチ人事や外国人の発掘などに関して独自の人脈を持っている。球団がコーチには生え抜きOBを使ってほしいなどと要望したときに、齟齬をきたす可能性があるでしょう」と言えば、とある球団OBは「いまの阪神が落合さんを招聘することはないでしょう。球界には落合さんに限らず、ソフトバンクを5度の日本一に導いた工藤公康さんら実績がある人がいますけど、外から監督を呼ぶことはないとみています」と、こう続ける。

「01年オフに星野さんを招聘した際は、補強はもちろん、フロント改革を含めたテコ入れなど、球団は星野さんがやりたいようにやれる体制を整えた。当時の野崎球団社長が一緒になって親会社や球団内の抵抗勢力と戦ったからです。選手の入れ替えやスカウト、編成にもメスを入れたからこそ、常に優勝争いができるチームになった。仮に落合さんを招聘すれば、コーチ陣の入れ替えはもちろん、失敗が多い渉外部門などにメスが入るでしょう。そうなれば星野さんの時と同様、既得権益を守りたい古株のフロントが黙っておらず、波紋を広げるのは必至です。

 次期監督候補の岡田さんにしても、前回監督就任時の08年に電撃辞任したのは、開幕から快進撃を続けながら巨人に逆転優勝を許したことに加え、チーム強化のことなどでフロントと対立したことも影響した。親会社、球団内にはいまだに岡田さんへのアレルギーが残っているといいます。今の阪神は助っ人補強で失敗が続いても、責任者がクビになるわけでもない。要するに組織内に波風を立てたくないのです。最終的にはフロントの言うことを聞いてくれる、扱いやすい人物を次期監督に選ぶつもりでしょう」

 阪神は05年以降、16年間もリーグ優勝から遠ざかっている。しかし、“金本、矢野の野球の継承を”なんて考えている時点で、落合招聘など頭にもないことがよく分かる。フロントが本気で勝つために手を打つかどうかは疑問と言わざるを得ない。

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