高畠導宏さんにはとてもお世話になった。絶不調の俺に手を差し伸べてくれた名伯楽
1996年に「本塁打王」の称号を手にした後、大きなプレッシャーと不安に襲われていた。タイトルを取ったシーズンは終盤の9月から打撃が絶不調。翌97年の春季キャンプになっても調子が回復する兆しはまったくなかった。
出口の見えない状態の中、よく話を聞いてくれたのが打撃コーチだった高畠導宏(のちに康真に改名)さんだった。2004年に残念ながら60歳という若さで亡くなってしまったが、俺がとてもお世話になった指導者のひとりだ。
多くの球団でコーチを歴任してきた高畠さんは、ロッテ時代に落合博満さん、ダイエー時代に小久保裕紀(現ソフトバンク監督)を育てた名伯楽として知られている。
95年に二軍打撃コーチとして中日入りし、翌96年に一軍打撃コーチに。「アレやれ、コレやれ」という押し付け型の指導ではないところが、頑固な俺にとってはすごくやりやすかった。教え方が丁寧で、こちらの意見や考えを聞いてくれる。これまで星野仙一監督の下で命令されてやっていた自分にとっては新鮮でもあった。
高畠さんは投手の癖を見抜くことにもたけていて、何か「いい情報」がある時にすぐ教えてくれた。「フォークの時はこんな癖が出ているから、ちょっと試してみな」と言われ、そのおかげで打てたことは多々あったと思う。


















