元川悦子
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元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

「堂安律は本田圭佑によく似ている」ガンバJr.ユース時代の監督が「人間力」に太鼓判

公開日: 更新日:

 日本がカタールW杯出場を決めた3月のオーストラリア戦(シドニー)。かつて南野拓実(モナコ)、中島翔哉(ポルティモネンセ)とともに「三銃士」と称された堂安律(フライブルク)は、この大一番に参戦できなかった。「逆境大好き人間頑張りまーす!あ、怪我してません!!」と本人は自身のSNSを通して冗談交じりに本音を発信。悔しさをバネに所属先のPSVで結果を出し、6月の代表4連戦で復帰。W杯メンバー入りの権利を手中にしようとしている。「自分がうまくいかない時に文句を言う選手は多い。でも律は絶対にそういうことを言わない選手。器の大きいところは(本田)圭佑に似てると思います」。ガンバ大阪ジュニアユース時代の監督だった鴨川幸司氏は、彼の人間力に太鼓判を押した。(文中敬称略)

■明るくてポジティブ

 ──兵庫・尼崎市出身の堂安は西宮少年SSから2011年にガンバ大阪のジュニアユース(U-13=13歳以下)に入りました。

「小学校6年の律は、西宮市出身の西田一翔(JFL・MIOびわこ滋賀)とともに『関西注目の2人』と言われていた。ガンバのスカウトが2人に声をかけたところ、揃って来てくれました。律は今と同じ左利きのテクニシャン。ただ、スピードやキレは、そこまでなかった。当時の印象としては『家長(昭博=川崎)や宇佐美(貴史=G大阪)のレベルではないな』というものでした」

 ──キャラクターは?

「とにかく明るくてポジティブな選手。誰かが叱られたりしても、率先して声を出して盛り上げていたし、リーダーシップもありました。特にチームの雰囲気が悪い時に引っ張ってくれたので助かりました」

 ──ポジションは?

「今と同じ攻撃的MFかFWでした。でもU-16日本代表では、左サイドバック(SB)に起用されたことがあった。本人は不本意だろうと思って『代表、どうやった?』と聞くと『このままでは吉武(博文監督)さんに認められない。どこのポジションでも一生懸命にやります』と闘志をむき出しにしてました。『(与えられた)ポジションが(やりたいところと)違うからうまくいかない』と不満を口にする選手は多いけど、律は一切、文句を言わなかった。むしろ、キャプテンとして挑んだアジア予選で韓国に負けてしまい、敗退した責任を痛感していたようでしたね」

 ──堂安の左SB起用をどう見ました?

「育成年代でいろんなポジションをやるのは『いい経験』と考えていました。ガンバアカデミーの先輩である稲本(潤一=南葛SC)も、95年U-17W杯(エクアドル)で新井場徹(FCティアモ枚方オーナー)と左右のSBでプレーしました。実際、僕も律が中2だった時のスペイン遠征で、左SBとして起用したことがあります。初瀬亮(神戸)が少しテングになりかけていたので『ライバルが現れたら危機感を持ってくれるだろう』という狙いもありました。ある試合で律が物凄く良いプレーをしたので(プレッシャーを感じた)初瀬が泣き出したほど(笑)。競争のある環境が、選手たちを伸ばすんです」

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