“ひ弱”なFA千賀滉大の希望は「大都市の強豪球団」ゴジラのようにNYの超シビアな環境に耐えられるのか

公開日: 更新日:

身内のオーナーもなじる

 渡米直後は一、二塁間へのゴロが多く、ニューヨークのメディアに「ゴロキング」と名付けられたばかりか、身内であるはずのスタインブレナー・オーナー(故人)からも「あんなにパワーのない選手と契約した覚えはない」となじられた。そういった激しいバッシングを、むしろバネにして結果を出し、最終的にはワールドシリーズMVPまで獲得した。

 ヤンキースでプレーしたイチローも「(松井のスゴさは)ヤンキースという環境で7年間もプレーしたこと」という趣旨のことを言ったことがある。

 千賀は育成選手から日本のエースに這い上がった。それなりの根性や精神力を持ち合わせているからこそだが、巨人やヤンキースのような環境に身を置いた経験はない。どちらかといえばファンやメディアの温かい福岡でプレーした千賀に、シビアな環境で戦う覚悟が果たしてあるのか。

 2017年のWBCに出場したときのこと。第2ラウンドのオランダ戦ではこんなことがあった。

 1点リードの五回から登板、いきなり連打を浴びて無死二、三塁とされるも、中軸を三振に打ち取って無失点に。権藤投手コーチが「ナイスピッチング、次(六回)もいくぞ!」と声を掛けると、首を大きく横に振って、「もうダメです。ムリです。勘弁してください」と答えたという。権藤コーチは「おまえの球なら大丈夫だ」と、なんとか六回のマウンドに送り出したものの、千賀には1イニングでヘトヘトになるくらいのプレッシャーがかかったのだ。

 まして千賀はローテの2、3番手として評価されているという。「大都市の強豪球団」が本気ならかなりの大金を積むに違いないだけに、かかるプレッシャーもハンパじゃない。

■毎年のように体中を故障

 体の問題もある。これまで左脇腹、背中、右肩、右肘、両ふくらはぎ、左足首……いわば体中を痛めて毎年のように登録抹消。今季まで7年連続2ケタ勝利をマークしながら、18、21年は規定投球回数に満たなかった。

 メジャーは日本以上に役割分担が明確だ。先発は中4日のローテーションを守って、コンスタントに投げ続けることが何よりも求められる。

 日本人投手が渡米して真っ先にブチ当たるのは、サラサラして滑りやすいメジャー公式球の壁だ。思うように操れずにいきなりトミー・ジョン手術を受けた投手も中にはいたし、滑りやすいボールが原因で1年目の序盤に肩肘の異常を訴えた投手はごまんといる。ましてメジャーは昨季から滑り止めなど、投手の異物の使用に厳しくなった。ただでさえ“ひ弱”な千賀の体は悲鳴を上げないか。

 それなりの年俸をもらっている選手がケガで休みがちになれば、ファンやメディアから叩かれるだけではない。その分、他の先発投手にシワ寄せがいき、チーム内でも肩身が狭くなる。「大都市の強豪球団」は選手がアテにならなければすぐに代わりの選手を連れてくるわけで、見切りをつけるのも早い。

 千賀はそれでも「ビッグマーケットの強いチーム」でプレーしたいのだろうか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発